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ピクニックデート 2
「…あの…リチャーデルクスさん…すみませんでした…
お洋服、汚してしまって……」
「ああ、レンシアさんは悪くないでしょ
食べ物を投げるなんて…どういう躾されてるんだか…親の顔が見てみたいですよね」
彼は怒っているけど、全然怒っていなさそうにも見える。
心に余裕があるのか、いつも穏やかにしている彼が不思議でならない。
十家といえば皇帝家の次に気位の高い貴族なのに、彼からは上位貴族特有のピリピリ感や品定めをするような鋭い眼や常に全てを疑っているような警戒心は感じないのだ。
「弁償…します……」
「いーっすよ全然。気にしないでください。
手洗いすればなんとかなるなる」
どうせそんなに着る機会もないし、とイオンは軽く流してくれて
レンシアは少しだけ顔を上げた。
「レンシアさんは怪我とか無かったですか?」
彼は向かいのベッドに腰を下ろし、こちらを気にかけてくれる。
首を横に振りながらも、何故か涙がじわじわと出てきそうでレンシアは唇を噛み締めた。
昨日、皇帝の弟であるローザレックの言葉を彼はすぐ近くで聞いていた。
ほとんどはレンシアにとって身に覚えのない事だったけど、それでも立場のある彼の発言の信憑性は計り知れない。
嫉妬に狂い、友達を傷付けた卑しい男だと思われただろうか。
それでも優しくしてくれるのはなんでなのだろう。
哀れな庶民だと思っているから?
そもそも平等な人間だと思われていないから?
また嫌な推測が自分の中で立ってしまい、レンシアはやっぱり俯いてしまう。
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