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ピクニックデート 3
「……レンシアさん…あんまり、自分を責めないでくださいね…
あなたは、何にも悪くないと思う」
「…っ、聞いていなかったのですか…?
俺は禁錮30年相当の罪を疑われているのですよ…」
「でも…レンシアさんが犯人ではないでしょう」
「例え実際に罪を犯していなくても…っ、疑われるような人間だという事です…!」
レンシアが震えていると、イオンはため息を付きながら立ち上がってこちらへやってきた。
そして俯いているレンシアと目を合わせるように床に跪いて見上げてくる。
「俺は全然、そんな事思ってない…自分でも否定していたでしょ?
他の存在を使って人を傷付けるような事はしないって。
その通りだと思う。
寧ろ、そういう出来事に心を痛めるような人でしょ?」
上位貴族に跪かせるなんてあってはならない事だったけど、レンシアは彼に見つめられて動けなくなっていた。
新緑のような緑色の瞳は、優しい木々が送ってくれる光みたいで。
「俺はレンシアさんが嘘つきだとか犯罪者だとか、そんな事は信じないよ
“大天使の生まれ変わり”かどうかよりも、レンシアさんがレンシアさんである事の方が大事でしょ」
「…俺が…俺であるかどうか……?」
「そう。えっと…なんだっけ、魂の数式だっけ。
魂は一つとして同じものはなくて、何があっても変わらないって…ローラが言ってた気が…」
イオンはそう言いながらも苦笑して、そっとレンシアの膝に手を触れた。
「何があっても誰にどう言われようとも
レンシアさんは、レンシアさんだよ」
自分が自分であるだなんて、考えたこともなくて
思わずレンシアは言葉に詰まらせてしまった。
偉大な存在の生まれ変わりであることだけが自分に与えられた価値だと思っていたからだ。
だけど彼は、自分が自分であることがまるで良いことのように言うから。
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