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ピクニックデート 7
「何を言ってるんですか…」
「…俺はきっと…学園を追放されて、魔法を封印されるでしょう…」
「え…」
「ヴァガ伯爵が逮捕されたのであれば…支援は受けられないでしょうし…
そうでなくてもきっと、婚約破棄された俺は離縁されるのは明確です。
恥知らずの俺を引き取りたいという方も居ないでしょうし…
ハートン学園の卒業資格がないのに魔法を有しているのは、…違法ですから」
学園の追放は休み明けか、長くとも2年生に上がることは出来ないだろう。
学園に通うための資金は庶民が払えるようなものではない。
少しの猶予が与えられはするものの資金援助者がいなければ、拘束されて魔法を剥がされるのだ。
「魔法を封印されるって……」
「…少なくとも…普通には生きていけなくなるでしょうね…
感情を失って廃人のようになったり…意思の疎通もできなくなると聞きます。
俺は“魔力が高い方”なので…最悪の場合死ぬかもしれません…」
魔法を封じられるなど滅多にない事だ。
本来は、魔法を使って重罪を犯したような死刑囚が施される事である。
学園に通えなくなって封印された例など数少ないだろう。
ローザレックがすぐにでも逮捕しなかったのは、きっとそれを見越してのことなのかもしれない。
例えあの場で許されても、罪深い人間はいずれは罰を受けるのだ、と。
『クワナイナラクレー』
オウムはイオンの頭の上で翼を広げてアピールしてくる。
「…ええ、いいですよ」
レンシアはサンドイッチを持って立ち上がり、オウムの元へと歩いていった。
包みを開けてサンドイッチを取り出し、細かく千切ってオウムに差し出すと
嘴でカケラをつまんで持っていく。
『ウマー!』
オウムは羽をバサバサと広げて喜んでいるようだ。
その姿は可愛らしくて、レンシアはつい口元を緩めてしまう。
だけどなんともいえない顔をしているイオンと目が合うと、恥ずかしくなって再び俯いた。
するとイオンはレンシアの腕を掴んでくる。
「……だめだ、死ぬなんて」
必死な目で見つめられて、レンシアはどうしたら良いかわからなくなってしまう。
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