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ともだち 1
どれくらい泣いていたか分からないけど、身体中の水分が全部出てしまって枯れ果てるんじゃないかというくらいには泣いてしまったレンシアだった。
イオンはハンカチを貸してくれたけど、
絞れるくらいびちょびちょにしてしまっている。
「うえーんって泣く人初めて見た…可愛すぎるだろ…」
彼は怒るでもなくただそこにいてくれて、しかも一緒に地面に座り込んでくれたままだ。
一頻り泣いてレンシアはようやく落ち着いてきて、やってきたのは罪悪感である。
「ごめん…ごめんなさい…りちゃーでるくす、さん…」
「…謝る必要ないでしょ?」
「で…ですが…」
「それと、イオンでいいですよ。長いし言いにくいと思うし…」
イオンも少し目を赤くしていたけど、微笑んでくれた。
レンシアは鼻を啜りながらも、なんだか狭くなってしまった視界の中彼を呆然と見つめてしまう。
「…イオン……さん…」
思えば、エルメーザ以外の同い年くらいの人とちゃんと会話などしたことがなかったように思う。
学校にはずっと通っていたけど、友達、と呼べる人なんて一人もいた試しがない。
ずっと勉強ばかりしていてろくに会話をしていなかったから。
イオンはエルメーザの事も友達と呼んでいた。
誰にでも平等に普通に接してくれる彼だけど、自分の事もそう思ってくれているのだろうか、と
レンシアは泣き疲れて少々ぼうっとなる頭で考えていた。
「……お…俺にも、友達…出来るでしょうか……」
それを呟くとまた何故だか涙が出てきそうだった。
「あ、あなたと…友達、に…なれるでしょうか……っ…」
本当は羨ましかった。
楽しそうに過ごす同級生達も、仲睦まじい恋人達も。
エルメーザですら友達を作っていたのに、自分はずっと孤独で。
そんな風に感じていた事にレンシアは気付いてしまった。
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