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ともだち 3

「良いのです…残された時間を精一杯享受しますから」 ようやく立ち上がって、噴水の縁に放置していたサンドイッチに目を落とすと 噴水の中に住んでいた生物がどうにかして食べようとしている所だった。 レンシアはサンドイッチを拾い上げて小さく千切って生物に差し出すと、 長い舌を伸ばしてそれを受け取ってくれた。 オウムも近くにやってきたので、レンシアはサンドイッチを分け与えていった。 さっきまであんなに苦しかったのに、 なんだかひどく心が穏やかだった。 こんな感覚になったのは初めてだと思えるくらい。 鳥達が集まってきて、小さな小動物達も駆け寄ってくる。 彼らの小さな声は、どこか心配しているように、それでも慰めるように寄り添ってくれた。 レンシアはまた泣き出しそうになりながらも、 彼らを膝や肩に乗せて、その毛や羽根や小さな手に触れるように頭を傾けた。 「……ああ、俺はもう…大丈夫……すごく、幸せです…… 何にもいらないくらい……」 ここに全部ある、そんな不思議な感覚だった。 暖かくて心地よくて、満たされている。 例え魔法が無くなって、この感覚がわからなくなってもきっと思い出せる。 何故なのかはわからないけど、 涙と共にずっと頭の中に詰まっていた黒い感情が吐き出されていったのかもしれない。 「い、いやそんな余命1ヶ月みたいな台詞やめてください! ていうか余命1ヶ月でもそんなこと言わないし!」 イオンが立ち上がって怒ったように見下ろしてくる。 レンシアは動物達に埋もれるようになりながら、彼を見上げた。 「だめだめ!散れ!解散!この人はまだ生きるの! まだ人生の折り返しにも来てないんだから!」 そして動物達を追い返している。 『セメテサイゴニドーテーモラッテヤレ!』 「だまらっしゃ!!」 めげないオウムには翻弄されているようだったが、レンシアはむず痒いような気持ちになりながら口を歪めた。

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