164 / 513

ロージーローズ 1

もう勉強もしなくていいし、上品に振る舞う必要もない。 いつまでも寝ていたって誰も怒らないし。 それはどこか寂しいようで、なんだか解放されたような気もして だけどやっぱり罪悪感が生まれてしまう。 レンシアは人生で初めてくらい爆睡してしまって、ほぼ丸一日寝こけていた。 そんなに寝たのは気絶して倒れた時以来くらいのものだ。 もう日が落ちかけている中目を覚ますと、イオンは机に向かって何か作業をしているらしかった。 「パワポが欲しい……っ……」 謎の呪文を唱えているが、その血気迫る姿をぼうっと見つめて レンシアは再びベッドに横たわった。 少し寝過ぎたせいなのか、なんだか身体が重たい。 ただ何をするでもなく横になっていると、窓の開く音が聞こえてきた。 「おい、持ってきてやったぞ」 「ありがとう!!!」 「血眼じゃないか…定期テスト前にもその必死さが発揮されればよかったのにな」 「うるさい!レンシアさんの命がかかっているんだ!」 イオンは変なテンションになっているらしいが、レンシアの為に何かしてくれているらしかった。 そう思うとレンシアは申し訳なさが込み上げてきて 起き上がって手伝った方がいいかと思うが、邪魔したくないような気もしてしまう。 「しかし…何をしでかすつもりだ?」 「レンシアさんのイシューは資金援助について でも従来のやり方ではブレイクスルーできない」 「何を言ってるんだかさっぱりだな…」 「だから校長に直談判して財団法人的なのを設立する」 「ホウジン?」 「慈善活動団体みたいなやつ!」 「ふーん…」 イオンの言っていることは不思議で、レンシアにとっていつも半分くらいしか分からないけど 彼の目にはこの世界は全然違うものに見えているのかもしれない。

ともだちにシェアしよう!