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ロージーローズ 3

レンシアの前の部屋は建物も別だったので寮舎自体初めて足を踏み入れたのだが、上の階は少し作りが違っているようだ。 丁度真上と思しき部屋のドアが全開になっており、 ローラが開けていてくれているのだろうとそちらに近付いて中を覗き込んだ。 夜とはいえ部屋は真っ黒で、蝋燭の怪しい灯りがチラホラと灯っていて水の流れる音が聞こえている。 「まあ入りたまえ。今は俺しかいない」 中から声が聞こえてきて、レンシアは着替えを両手に抱きしめながらも部屋の中に足を踏み入れた。 ローラは蝋燭が一本灯った机に向かっていたが、火を焚いて大丈夫なのかというくらい本が山積みになっている。 サンイヴン・ローラはレンシアと同じクラスだが、当然あまり話をした事はない。 分厚い眼鏡をかけていて足元まである黒いローブのおとぎ話の魔法使いのような格好をしており、時々寝癖を付けてくるような 見てくれに全く気を遣っていない様子はあまり貴族らしからぬ生徒だったが エルメーザとは友達らしいし、イオンともとても仲が良さそうだ。 「あの…良いのですか…?俺によくしてくださって…」 「良くしているつもりはないが悪くする理由もない」 「ですが…その、エルメーザ様とお友達なのでしょう…?」 レンシアがぼそぼそと呟くと、彼はこちらを振り返ってくる。 「お前はエルたんと複雑な関係にあるようだが、友達だからと言って趣味嗜好やましてや支持しているものが同じとは限らない。 俺は俺の考えと概念に基づいて動いているだけだ」 理屈っぽい話し方の割にエルメーザをエルたん呼ばわりしていて、どう反応して良いか迷ってしまう。 「イオンくんは愉快な男だ。 何をしでかすつもりなのか見届けてやろうと思ってな」 彼はそう言いながらも再びこちらに背を向け、何かを書いているようだった。

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