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ロージーローズ 5

「ありがとう…ございます…」 「風呂場はそこだ。そろそろ溜まっただろ」 「はい…じゃあ……入ってきます…」 「ごゆるりとおくつろぎくださいませ〜」 イオンも似たような事を言っていて、レンシアは苦笑しながらも風呂場へと侵入した。 元々いた部屋についていた風呂場よりも狭くて、洗面台にまで湯気がもくもくと漂ってきている。 だけどちゃんとお湯を溜めて入ったのなんていつ以来だろう。 レンシアは衣服を脱いで先程もらった小瓶を開封すると、言われた通りに中の粉を湯の中に投下した。 湯の色は変わらなかったが、ふわりとバラのような香りが漂ってくる。 「わ…良い香り……」 もしかして貴重なものなのかもしれないのに、自分なんかに譲ってくれて。 レンシアはまた泣きそうになりながらも我慢をして髪や身体を洗うことにした。 きっとローラはイオンの大切な友人の一人なのだろう。 淡々としていてちょっととっつきにくいようなオーラを放っているけど、 平等に接してくれている様子はイオンとなんだか似ていて やっぱり似ている人同士は仲良くなりやすいのかな、と思ってしまう。 そう思うと自分はあんまり仲良くなれないかな、などとまた深刻に考えそうになるので レンシアはとにかく目の前の事に集中して、思考を紛らわせる事に努めるのだった。

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