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前世のスキル 1
転生者が異世界で地球や現代日本の知識やシステムを持ち込んで無双する話はあるあるだ。
それが見たくてみんな漫画アプリに課金するわけだが、イオンは自分には誰も課金しないだろうと感じながらも必死にプレゼン資料をアナログで作っていた。
自分には特別なスキルも才能もない。
何故なら井小田はどこにでもいる一般的なブラック企業社員だったし、同性愛者だった事以外は特筆すべきことも
何かのめり込んでいた趣味といったことも無かった。
そう考えると井小田がつまらない人間すぎて悲しくなるものの、
少なからず仕事で得ていた知識は今若干役に立っている。
まず、魔法を授かった者はハートン学園へ全員通うことを義務付けられているのにも関わらず、
学費は全て個人負担なのがそもそもおかしいし
義務教育とは本人ではなく周りに義務付けられているものだと是非主張したかった。
義務付けるのであればせめて半分くらいは国が負担すべきだし、というのは政治や法律を変えなければなりそうなのでとりあえず一旦置いておき
レンシアが退学させられるまでの短い間に出来ることといえば、資金を集める事だ。
今の所資金援助の方法が、養子縁組として迎え入れるかもしくは保護者として面倒を見るかのほぼ二択らしい。
つまり金を出すだけではなくその後の事まで見守り責任を取りますよというのがセットになっているわけだ。
孤児であればこの方が良い気がするが、
一般家庭の出や貴族として生まれて財源がなかなかに厳しい者だとここら辺は複雑になってくるだろう。
だが支援したいと考えているもののそこまで大掛かりに責任は負えないよという人間は山ほどいるはずだ。
つまり、寄付という形で金を集めそこから支援を必要としている人間に充てるというシステムを作ればいい。
実際に地球でも発展途上国の子どもを支援する基金も沢山あるので、この世界に今まで無かったのが不思議なくらいだったが
無いのなら作れば良いし、幸いイオンには法人化について仕事で携わっていたこともあって多少は心得があった。
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