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前世のスキル 2
自分で会社を起こした事はないが、この世界の税金だの法人化についてなどは最悪困ったら両親に聞けばいいし
少し調べたところ現代日本よりも相当適当でも許されるようなので、出来ないことはないだろう。
こうすればレンシアだけでなく他の貴族や庶民達も数多く助かるだろうし、
レンシアだけ贔屓しているとは思われないだろう。
多分慈善事業は世間体もいいので支援者はすぐに見つかるはずだ。
ローラにこの前のパーティに出席していた貴族のリストを作って貰ったので、この辺はまず固いと踏んでいるイオンだった。
後は学園側に許可を取るだけなので、今は校長を説得するためのプレゼン資料を作っている所存だ。
パワポがあれば一時間くらいで出来るわけだが、アナログ手書きだと書き直したりして結構時間がかかってしまう。
「ふぅ……よし、まあこんなもんかな……」
とりあえず一旦資料は完成した。
全然色のないものだったが美術の才能は皆無だしテンプレートといったものは存在しないので仕方がない。
プレゼンもブラック企業では突然、あと二時間後の会議で頼むよ!などと無茶ぶりされていたので、多分ライブでもいけるくらいだ。
こんな所でブラック企業の経験が活きるのは実に複雑な思いだったが、それで救われる命があるのであれば
使えるものはなんでも使っていくしかない。
一旦作業が終わって伸びをしていると、部屋のドアが静かに開いた。
ローラの部屋に風呂を借りに行っていたレンシアが戻ってきたのだろうか。
振り返ると、白いパジャマ姿のレンシアが部屋の中に入ってきていた。
いつもサラサラの髪は濡れていてしなっとなっており、しっかり暖まってきたのか頬や肌は赤らんでいる。
パジャマは襟元が開いているので鎖骨が見えていて、イオンは思わず目を皿のようにしてその姿を網膜に焼き付けてしまう。
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