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夏休みの活動 1

校長へのプレゼンは、イオンの中で自分史上最高の出来だといっても過言ではなかった。 あの大きな商談の場で、様々なお偉い方が集っていたあの会議で、これくらい出来が良かったら人生変わっていたかもと思えるくらいには。 でも、この日の為に数々の失敗があったのかと思えば報われたとも思う。 「…以上です!たくさんのご支援お待ちいたしております!!」 イオンが頭を下げると、拍手喝采が巻き起こった。 サロン内にいる煌びやかに着飾った貴族達は、感動したように歓声を上げている。 レンシアを救うというのを、全ての苦学生を救うと主語を大きくし財団法人を立ち上げたイオンは、校長から見事に許可を勝ち取り 数々の社交界やサロンを巡って寄付金や支援者を集めるべく走り回っていた。 その為にも十家という家柄も駆使しまくっているのだが、おかげで評判は上々である。 「さすがリチャーデルクス家の跡取り、この年齢で立派なお考えをお持ちだ」 「いえ…一般家庭出身の生徒は勿論、 たくさん兄弟がいれば全員をハートン学園に通わせるのは難しい事ですから。 折角優れた才能を持っているのに、資金の問題でそれが失われてしまうのはこの国にとっても損失だと思うのです。」 イオンはブラック企業で鍛えられたさも世間体が良さそうな話題をペラペラと喋り散らかすと、 集まってきていた貴族達は感嘆の声を溢す。 しかしそれは嘘ではなかった。 様々なサロンや集まりを回って色んな貴族や魔法使いから話を聞くと、 やはり学費を集めるために奔走している親は少なくないようだ。 一般家庭出身者は特に、家や財産を投げ売ったり 自分の身を犠牲にして働いている人もいるらしい。 それは地球でもある事で、しかし少なからず行政でも民間でもそれを支援しようという機関があるわけだが この世界はあまりそういうのを相談できる窓口がないようだ。 「君のことを支持するよ!寄付金もすぐ送らせて頂こう」 「ああ、私もだ」 「ありがとうございます!企業名でも送金できますし、いずれ税金対策にもなるように整えますので!」 「ゼーキンタイサク??」 「社会貢献への投資は企業の宣伝にもなりますからね!」 にこにこするイオンに貴族達はぽかんとしている。 どうやらこの国はあんまりシステムがちゃんとされていないようだ。 おかげで別に人並み程度にしか知識がないイオンでも余裕で起業が出来たし、寄付金も順調に集まってきている。 これならレンシアも退学にならずにすみそうだ。 「では、僕は次の会場に行かねばなりませんので!失礼致します!」 「ああ、今後の活躍を期待しているよ」 イオンは頭を下げながらも手早く片付けをしてサロンを後にした。 イオンは最近とにかく一日のうちに出来るだけこういった貴族の集まりを回って支援者を募っていて、今が夏休み中で良かったと思う所存だ。

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