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夏休みの活動 4

どうやらクリーム系のパスタのようで、レモンが添えられている。 フォークに巻きつけて口に運ぶと、その暖かさと人の手料理の味が疲れた身体に染み渡っていって また泣きそうになってしまう。 荒れた部屋でコンビニ弁当を一人さもしく食べていた井小田の事が蘇って、イオンはまた幸せを実感してしまっていた。 「うう…、美味しいパスタ作ったお前じゃん……」 目を閉じれば一番光っているじゃん、と感動を吐露しようとしてカラオケの定番みたいな感想になってしまう。 「お茶…も、淹れますね」 レンシアはそう言いながらも離れていってしまった。 彼の背中をつい目で追ってしまったが、イオンはため息を溢しながら美味しいパスタを見下ろす。 「…うわ…どうしよう……」 勝手に顔が熱くなってしまう。 レンシアは多分自分の為に動いてるイオンへのただのお礼のつもりで、他意なんてないのは分かっている。 そもそも婚約破棄されたばかりで、しかも言うなれば浮気もされていた状況だったわけで 恋愛なんか、男なんか暫く懲り懲りだと思っていてもおかしくはない。 そんなのは重々承知だった。 だからこの気持ちを伝えようなどとは1ミリも思っていない。 伝えていいのかどうかも、わからないし。 でも、イオンは自覚してしまっていた。 「……好きすぎる…」 今頑張っているのも、決して下心がどうとかそういうわけではない。 相手が例えローラやイヴィトや、リウムであっても自分は同じ選択をしているだろうし 同じだけ頑張ってしまうのだろうけど。 でも、レンシアのため、と思って動いている時間は明らかにエネルギーの湧き方が違っているような気がするのだ。 「…だめだめ、イオン。弱みに漬け込むなんて最低よ… 欲望を抑えるのよ、調子に乗らないこと、得意でしょ…!」 イオンは自分の中のおネエサマキャラに怒られながら一人で、はい、と頷いた。

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