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羊たちと 3

エルメーザみたいにいつでも凛としているのが正しい在り方なのだと思っていたし、 彼の隣にいる為に倣ってはいたのだけど。 「…もう、どうでも良いか……」 今更、何を取り繕ったって意味がない。 レンシアはため息を溢しながら、俯くのをやめて金色の生物達に目を向ける。 あの一匹はどうやら仲直りできたらしく、 みんなで同じ場所に固まって寄り添っているようだった。 レンシアもそこに近付いて行って、先程の一匹を見つけ出すとその横に座り込んで身体を撫でてあげた。 「良かったですね、仲良くできて」 生物は、めぇ、と短く鳴いてご機嫌そうだった。 彼らと同じ目線でしゃがんでいると、ピー、という小さな悲鳴のような声が聞こえて思わずそちらに顔を向ける。 すると、柵に身体をくっつけるようにしていた一匹から痛みのような感覚が伝わってきて レンシアは立ち上がって柵の向こう側へと目を向けた。 そこには誰かが座り込んでいて、柵の隙間から生物の毛を毟り取っているようだった。 「こ、こら!何をしているのですか!?」 「ひぃ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」 誰かは目深くローブで顔を隠しており、謝りながらも逃げようとしたので レンシアは走って柵を飛び越え、その人物をとっ捕まえた。 馬乗りになりその身体をひっくり返すと、眼鏡をかけた銀色の髪の生徒が半泣きでこちらを見上げてくる。 「ひ、あ、レンシア様…っ!? お、お、お許しくださいぃぃ……!!」 生徒の手から金色の毛が落ちていく。 彼は泣き出してしまったが、その顔には見覚えがない。 ネクタイの色からして多分上級生なのだろう。 「どうして毛を取ったりするのですか!痛がっていましたよ?」 「ご、ごめんなさい…ど、どうしても必要で…っ」 「必要?」 彼は焦っている様子だったが、それは捕まった事だけではなく 何か事情がありそうに見えてしまって レンシアは仕方なく彼の上から降りた。 すると彼はすかさず地面に這い蹲って頭を下げてくる。

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