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夏休みの実績解除をしたい 4

「ごめんなさい…カップが不揃いなんですけど……」 ポットを片手に、カップの取っ手のところに指を引っ掛けて無理矢理四つ持ってやってきたレンシアにイオンは慌ててベッドサイドに置いていたテーブルを真ん中に持ってきてやってきた。 レンシアはカップを置くと、ポットから紅茶を注ぎ始める。 「え、このカップめっちゃいいやつとちゃう?」 「婚約の記念とかで伯爵のお知り合いの偉い方に頂いたんですけど…」 レンシアの言葉に部屋に流れる空気はシーンとしてしまう。 ローラはイヴィトお前やったなという眼で見ていて、何か空気を和ませねばと頭をフル回転したが レンシアはいち早くその空気を察して、肩を竦めた。 「みんなで壁にぶつけて割って遊びますか?」 「おぉお……治安悪ぃ……」 「冗談ですよ…物に罪はありませんし可哀想ですから…」 「ひひ。レンしぃのロックなとこ結構好きだぞ」 冗談にしては怖過ぎるけど、なんだか涼しい顔をして元カレを彷彿とさせる物に辛辣な様子は 彼の中でも少し吹っ切れてきているのかなと感じてしまう。 ローラから貰った温泉まんじゅうとイヴィトから貰ったクッキー達を囲んで四人はお茶会を始めた。 「あと一週間ちょっとで夏休みも終わりやなんてなー なんかあっという間やったなぁ」 「お前ら宿題はちゃんと終わったのか?」 「う……あとちょっと…やな…」 「俺全然やってない……レンシアさんは…?」 「宿題ってなんでしたっけ……」 「うわこれどっち…?」 「仲間だと思いたいなぁ」 「ローラもまだなんかい…」 小さなテーブルに無理矢理お菓子を広げて、椅子も無いのでレンシアは自分のベッドに座っているしローラは窓枠に寄りかかっている。 人生2周目だったら学校の勉強など余裕だとたかを括っていたが、見事に宿題どころじゃなくて結局前日に泣きながら追われる羽目になりそうだ。

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