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夏休みの実績解除をしたい 5

「でも折角やしみんなでどっか遊び行かん?」 イヴィトは以前にもそのような事を言っていた気がする。 「どっかってどこだ?」 「うーん…あんまり遠くには行けんかもしれんけど… 近くやったら…水族館とか?」 「男だけで水族館……」 「え?どういうこと?」 「いやなんでもない…そうでした……」 この世界には男オンリーだった事を思い出しイオンは苦笑してしまう。 18年もこの世界にいるのに未だに慣れないものである。 「俺は暇だから別に構わんが…」 「水族館かぁ…夏らしい事全然出来てなかったからいいかも」 現代日本で水族館に行ったのなんて小学校の社会科見学くらいのものだ。 デートの定番スポットだけど、そんなもの一回だってしたことがないし。 「お。じゃあ決まりやな。レンシアさんもいい?」 「…え、…お…俺も、ご一緒して良いのですか…?」 レンシアは温泉まんじゅうを両手でハムスターのように食べていたが、イヴィトに声をかけられて顔を上げている。 「うん。みんなでって話やろ?」 「え…えっとでも……」 彼は何故かこちらを見てくるので、イオンは首を傾けた。 「でっかい魚苦手?」 「いえ…お魚は大好きですけど…」 「食べられるわけじゃないぞ?」 「わ、わかってますよそれくらい…! 俺だって水族館くらい…ほ、本で読んだことありますもん」 レンシアの発言は笑っていいのか分からなかったが、気分転換になったらいいなと思えてならない。 彼はずっと勉強漬けで、その様子では幼少期からずっとそうだったのだろう。

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