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眠れない夜に君だったら 1

イオンの友達でもあるローラとイヴィトは、エルメーザとも友達になれるだけあって イオンと同じように人を立場とか身分で判断しないような人達なのだろう、とレンシアは実感していた。 普通に接してくれて、遊びにも誘ってくれて。 良いのかな、と思うけどなんだかドキドキしてレンシアはベッドに横になってもなかなか寝付けない。 友達自体いた試しもないのに、遊びに行く、だなんて。 何をどうすれば良いか分からないし、迷惑をかけないだろうかと不安にもなってしまう。 本当に行っても良いのだろうか、とレンシアは布団の中で悩んでしまっていた。 気を遣ってくれただけで、本当は、リウムとかを誘いたいんじゃないだろうか。 リウムとエルメーザはどう過ごしているだろう。 もう関係のない事なのについ考えてしまって、 頭の中に浮かんだのは、中庭で目撃してしまった寄り添いあっていた二人の姿だ。 顔が近付いていく二人の。 「……」 レンシアは思い出すと胸が苦しくなるので考えるのをやめて、寝返りを打った。 すると、暗闇の中きらりと輝く緑色の光と目が合う。 向かい側のベッドにいるイオンだった。 「……眠れない?」 彼は声をかけてくれて、その優しい声色には少しだけ安心してしまう。 「…すみません…起こしてしまいましたか…?」 「んーん。俺も眠れなくてさ」 イオンはそういうと小さく笑った。 「俺もね、行くの初めてなんだー水族館。 …この世界では、だけど……」 「そうなのですか…?」 「親…二人とも忙しいみたいだったし。 まあ…二人では行ってたのかもしんないけど…大体俺置いていかれてたからね…」 リチャーデルクス侯爵はいくつも会社を経営しているという話だ。 裕福な家庭だからと言って甘やかされて育ったわけではないのだろう。 寧ろ立場があればあるほど厳しくされていた可能性が高い。 それは、エルメーザを見ていて感じていた事でもあったから。

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