200 / 513
水族館に行こう! 2
支度を済ませて寮の外に出ると、既にイヴィトが先に待っていた。
「あ、おはよー」
彼は無地のTシャツに緩いパンツみたいな海外セレブ的超適当ラフスタイルだったが、体格が良いのでそれだけで様になっている。
笑顔で片手を振って挨拶してくれて朝から爽やかの極みだった。
「わ。レンシアさんそういうのも似合うんやーいいやん」
「ありがとうございます……ルンさん…」
「あはは。イヴィトって呼んでー」
「イヴィト…さん……?」
「さんはいらんよー」
彼の自然な距離の詰め方はイケメンムーブすぎて何故か見ていてハラハラしてしまうイオンだった。
暫く待っていると時間ギリギリに寮の入り口から真っ黒な人間が現れた。
「おはよーローラ」
「…寝坊した」
裾も丈も長い黒い服はいつもとあんまり変わらなかったが、彼はいつもよりレンズの薄い眼鏡をかけているようだ。
眼鏡のツルにはチェーンがついていて、襟の無いシャツはチャイナボタンだし着物のように袖が広がっており
あまりにもチャイナマフィアにしか見えなくて、この世界の服装の振り幅はやっぱりゲームライクだと思ってしまうイオンだった。
「じゃあみんな忘れ物はないな?」
「…ええ」
「おそらく」
「よーし出発やー!」
朝から元気のいいイヴィトは先頭を歩き始めて、三人は彼に完全に頼り切ってただ着いていくだけの人達と化してしまうのだった。
ともだちにシェアしよう!

