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水族館に行こう! 3
学園を出て暫くいくと駅があり、そこから汽車で二駅程移動した。
そこは海沿いの街で、港などもあるようだった。
海の近くに建っている水族館は子ども連れなどで割と賑わっていたが、見事に男しかいなくて
なんだか天国とも言えない微妙な気持ちになってしまうイオンだった。
入り口にある園内図を見る限りでは結構広そうで、公園のような野外スペースもあるらしく
シーパラダイスみたいなものなのかなと勝手に予想する。
だけど魔法の世界の水族館、と考えるとさも不思議な生物が沢山いるのだろうと普通に興味深かった。
「大水槽に人魚…やって!」
「特別展示…水棲ドラゴンか…これ本当か?」
各々興味のある展示を見つけたらしいが、とりあえず順番に回っていくことになった。
現代日本の水族館と似たような感じで、ガラスの水槽があって様々な魚や海の生物が展示してあった。
カニとかタコとか、地球にいる生物もいれば
どういう形かよくわからない見たことのないような不思議な魚も一緒くたになっていて変な感じである。
メインである大水槽は、天井付近まである巨大な水槽で
深海魚っぽい見た目の巨大な魚やサメのような生き物もいた。
そして一際人気を集めていたのが人魚だ。
下半身は魚で上半身は人間、顔はちょっとだけ魚っぽかったが
長い髪の毛が空中を漂っており、映画で見たような姿が水槽の向こうで手を振っている。
そしてそれは久々に見る女の子の姿であった。
「他の生物はいるんだな…女の子……」
「あの胸の袋はなんなんだろうな…」
「ね。筋肉…やないし…不思議やなぁ…」
「そういう意見になるんだ…逆女ヶ島みたいな…」
腕を組んでローラとイヴィトは真剣な顔で人魚を眺めていて、現代日本だったら男子サイテーとぶち殴られる所だろう。
だけどきっと彼らには女の子という生物はユニコーンとか龍みたいな幻獣生物の一つなのかもしれない。
果たしてそれは悲しいのか哀れなのか、知らぬが仏なのか…。
自分は同性愛者で助かっているのかもしれない、と思うイオンだった。
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