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呼ぶ声 4
遠くから見えるドラゴンは、白銀の鱗を光らせる細長い生物だった。
ギリビーロにも少し似ているけれど、
二本の角を生やし背中には翼を持っていて四つの長い脚を持ちペガサスのようにも見える。
『………!』
一匹のドラゴンが再び吼えた。
それは巨大な鐘を鳴らしたような音で、
意味はわからなかったけど何かを伝えようとしているようにも聞こえる。
「初めて聞いたけどすごい迫力やな…」
「ドラゴンの咆哮は天地を破るとか、山を砕くとか…色々言われているな…」
「なんだろう……?何かを訴えてる?」
イオンは腕を組んで首を傾けている。
『……来い……!』
びく、と背筋が伸びてレンシアは思わず足を踏み出していた。
「レンシアさん…?」
「呼んでる…」
「え?」
不思議なその声に、導かれるように勝手に足が動くのだ。
『…来い…!“ᚴᛖᚱᛁᚾᚵᚢ”…!』
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