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先輩を助けよう! 4
彼は泣き始めてしまい、さすがにそろそろ視線が痛くなって来たので
彼を引きずってイオンの元へと連れて行った。
一連の流れを見ていたのか、イオンは苦笑している。
「えーと、ヴェネッタさんです。2年生の」
「ヒィィィ!じゅ、十家の…!?さ…さすがレンシア様のお友達様は高貴な方々でいらっしゃる…!!?」
「彼めちゃくちゃお金に困っていて盗難しようとしていたのですよ」
「え…盗難?」
「いやあのそれは…」
「あと禁止されている学園内の商売もしているようですし…
それから先程盗撮も発覚しましたね」
「ゆ…許していただいたのでは…!?やっぱり私刑!?」
「どうですか?ぴったりの人材では?」
「もしかしてサンドバッグにされる!!?!?」
怯えているヴェネッタに、なるほど、とイオンは腕を組んで考えているようだ。
「まあ、とりあえずお座りください。ヴェネッタさん」
「え、あ!?な、何卒ご容赦を…!じ、自分…!学園に居られなくなったら…内臓を売り飛ばされてしまう事請け合いでして…っ!」
「そんな事しませんから大丈夫ですよ。
寧ろ助けになればと思うのです」
「た…助け……?」
ヴェネッタは震えながらもおずおずと着席した。
「や…闇バイトの斡旋でしょうか…、自分あまり器量は良くないと自負しておりますし…度胸もないですぜ…」
「違いますよ、えーと。俺はこういう者でして」
イオンはそう言いながら制服のジャケットから小さなカードを取り出して、彼に渡している。
「い…一般財団法人…?」
レンシアはつい彼の手元を覗き込んでしまった。
小さなカードには会社の名前と彼の名前が書かれている。
「はい。私共はですね、優秀な魔法使いの未来を守るための支援機関でございまして…」
イオンはそう言いながらどこからともなくパンフレットのようなものを取り出して、説明し始めた。
人が違えたようにハキハキ堂々と喋っているイオンの姿をレンシアはぽかんと見つめてしまうのだった。
かっこいい…、と語彙力の喪失した感想だけを思い浮かべながら。
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