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変容 2
「ごめん…僕といる所為でみんなまで……」
「気にするな。あいつらは何やっても言うに決まってる」
「それにしても言い過ぎやない?俺が一言言おか?」
「い、いいよイヴィト…大丈夫だよ…ありがとう…」
流石に少し怒っているようなイヴィトだったが、リウムは彼を止めている。
「エルメーザくんはなんて?」
「…他人の戯言など気にするなって…」
「相変わらずみたいだね…」
「ううん…エルメーザがいる時は誰も文句言えないから…」
リウムはそう言いながら幸薄そうな儚い笑みを浮かべている。
かつて、レンシアもそんな風にしていた事を思い出すと
やっぱり、常に立場に対してのプレッシャーがかけられているという環境が人間をか細くしていくのかもしれないと思えてならないイオンだった。
「………きっと、先輩を傷付けちゃった報いだよね…」
リウムはぼそりと呟くと、泣きそうに目を細めている。
イオンは思わずテーブルの下で両手を握り締めてしまう。
「…リウムがそう言うのは…狡いと思うよ…
どうやったって、エルメーザくんに近付いた時点で…レンシアさんが傷付く事になるのは分かってたはずだよね?」
彼は、死のうとしていた。
悪気はなかったとはいえ、レンシアが二人に傷付けられた事は明白なのだ。
だからと言って悪く言われていたままでいいとは思わないけど、そんな風にレンシアの所為のように言われるとイオンはどうにも面白く無くなってしまう。
「…こうやって自分が同じ目に遭って辛いからって…
レンシアさんの所為にするのは…違うと思う…」
イオンが思わず呟いてしまうと、リウムは酷く傷付いたような顔をこちらに向けて来た。
その顔を見て、不味い、と思った時には遅くて彼の頬には涙が伝ってしまっている。
「あ…えっと、ごめん…言い過ぎ…ました…」
イオンが慌てて謝っていると、リウムは首を横に振った。
「いい…分かってるから…、イオンくんは正しいよ……」
消えそうな声で彼が呟き、テーブルは最悪の空気になってしまった。
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