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変容 3

イオンはみんなの顔を見れずに俯く事しか出来なくて、言わなければよかっただろうかと考えてしまう。 リウムが今辛いことも間違いない。 だけど、レンシアだって同じようにずっと悪く言われていたし、それは今だって。 婚約破棄された時のバッシングなんてもっと酷くて。 比べてはいけないことだとは分かっているけど。 食事も喉を通らない最悪のテーブルは、リウムの鼻を啜る音だけが聞こえていたが どか、と誰かがイオンの隣にトレーを置いて全員がそちらを見てしまった。 「ごき〜」 謎の挨拶をしながら、場違いな美しすぎる笑顔を浮かべているレンシアに イオンは目の前がチカチカなっている気がしてしまう。 「ご…ごき…?」 「ごきげんようの略です」 「ごき〜」 「ごき〜」 早速使っているローラに、レンシアは笑顔で返している。 彼の異常な機嫌の良さには救われると同時に若干心配してしまうイオンだった。 「なんですか、皆さん辛気臭い顔をして。飯が不味くなりますよ?」 そう言いながらレンシアは大口で食事を掻き込み始める。 すっかりワイルドになってしまったレンシアに、リウムは鼻を啜りながら俯いてしまった。 食堂内は更にざわついており敏いレンシアがこの空気に気付いていないわけないのだが、彼はわざとそう振る舞っているのだろうか。 「…先輩…あの……僕……」 「今“ごうつくばり”って言ったの誰ですか? 直接言いにきなさい!正当な意見なら顔を見て言えるはずでしょう!?」 レンシアが大声で叫ぶと、しーんと食堂内は静まり返った。 流石のローラも、つっよ…、とドン引きしているが彼は涼しい顔で食事を再開している。 イオンはそんな彼の凛々しい横顔に何故か心臓が爆鳴りし始めて、つい自分の服を掴んでしまう。

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