236 / 513

変容 4

「“何も悪い事をしていない”のであれば恥じる必要はないでしょう?堂々としていなさい」 彼はリウムを睨んだ。 リウムは開きかけた口を閉じて再び俯いてしまう。 「レンシアさん……けっ……」 「ん?」 「イエ…なんでもないです…」 イオンは思わず求婚しそうになったがどうにか思い留まった。 彼の吹っ切れ方は異常だし恐ろしくもあるのだが、以前よりもずっと凛として堂々としている姿は男前過ぎて惚れ直す所存だった。 「ひひ。良いキャラになってるじゃないかレンしぃ」 「レンシーすごい格好いい…!」 「何を言ってるのやら」 肩を竦めているレンシアは、色んな意味でもうリウムの事もエルメーザの事も眼中になさそうだった。 イオンは彼のことでリウムに怒ってしまった自分を少々恥じながらも、居た堪れ無さそうにしているリウムに目を向けた。 「先輩はやっぱりすごいね…僕は先輩みたいにはなれないや…」 「…はい?」 彼はボソボソと呟き始める。 「…よかった……やっぱり…先輩を選んで正解だったって思えるよ」 リウムは俯いたままふらふらと立ち上がった。 レンシアもなんのことかわからないと言ったように彼を見上げる。

ともだちにシェアしよう!