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変容 5

彼から、明らかな不穏な気配が滲み出ている、と気付いた時には食堂に灯っていた灯りが揺れ始める。 そして、チカチカと消えたりついたりと異常を発し始めると食堂内に嫌な悪意が漂い始めた。 イオンは咄嗟に、あのシャンデリアが降ってきた事を思い出して立ち上がった。 すると、ばしゃん、とバケツをひっくり返したような水の音が聞こえる。 「…っ!?」 「あっっつ!!!?」 「うわ!!」 イヴィトとローラが飛び退く。 リウムはその場に立ち尽くしたままだったが、彼の身体はぐっしょりと濡れていた。 「な、…!?」 食堂内はざわついていた。 嘲笑と戸惑い、悪意、様々な感情が入り混じっていて一体誰の仕業か検討が付かない。 「リウム、大丈夫!?」 「なんだこれ…!熱湯じゃないか!殺す気か!?」 「誰ですか!?悪戯にも限度ってものがありますよ!?」 レンシアはテーブルを殴り付けながら立ち上がった。 イオンは今にも飛び出していきそうな彼を慌てて抑える。 「と、とりあえずリウムを医務室に…!」 「う…うんせやな…!」 「まさか立ったまま気絶してるのか…?」 「気絶は……してないよ……」 結局リウムはイヴィトとローラに引き摺られていってしまい、辺りは騒然となってしまった。

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