リウムが座っていた向かい側はびしょ濡れになっていて、どうやら魔法で水を被らされたのだろう。 イオンはとりあえずテーブルの上だけを布巾で拭く事にした。 水は結構高温のようで、その悪質さにはさすがに怒りを感じてしまう。 「…レンシアさんは大丈夫だった…？」 「ええ…でも、こんなのはやり過ぎです…いくら気にいらないからって…」 レンシアは怒ったように眉間に皺を寄せながら食堂内を睨んでいる。 「そういえば以前にも…ジョルシヒンさんは過剰な嫌がらせをされていましたね…」 「以前…？」 リウムは幻獣生物に襲われてボロボロになっていた事があった。 レンシアは立ったまま考えるように腕を組んだ。 「嫌な予感がします……」 長い睫毛を揺らしながら、不穏な事を呟く彼にはイオンも同意だった。 「何か変な事が起ころうとしている…？」 それはローラが言っていた事、なのだろうか。