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眠りの淵で 6

ふ、と目が覚めるといつも通りの寮の部屋だった。 隣を見ると、相変わらずイオンは眠ったままのようで レンシアは起き上がって彼のベッドに近付き、そのまるで死んだような顔を見下ろした。 『この人はまだ生きるの!』 自分が命を諦めていた時、彼はそうやって叫んでくれた。 そのことを思い出すと思わず頬が緩んでしまうけど、同時に涙が滲み出てくる。 「ピクニックデートと…キス、でしたっけ…」 彼は生きる理由にそんな事をあげていた気がする。 誰とそうしたいのかは分からないけど、 そんな些細な願いを抱えている彼にどうしようもなく、何も無くなったような気になっていたレンシアは勇気付けられたのだ。 なんだかとても、彼に会いたくなった。 今こうして目の前にいるけど、やっぱり。 笑っていてほしくて堪らなくなる。 「…イオンさん…」 レンシアは彼を見下ろした。 この人のためなら、自分はどうなったって。 もしかするとそれは、彼には怒られる事なのかもしれない。 だけど、もしもそれしか方法が無いのだとしたら。 なんだって喜んで、差し出していい。 諦めでも、苦しさでもなく。本気でそう思えていた。

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