269 / 513

国家欺瞞の君 3

「僕の一位能力…“癒し”じゃなくて…実は“変換”なんだよね」 リウムはそう言いながらも片手を差し出して、何も無い空中から水の塊を出現させている。 そして軽く人差し指を回すとその水は形を変えて、猫のような形になっていった。 「変換……?」 「うん…あのさ…、食堂で、あのシャンデリアが落ちてきた時ね 先輩の癒しの魔法を見て、かっこいー!って思って… それで…あの時の魔法の粒子に“変換”出来ないかやってみたら…なんと出来ちゃってね」 「う、う、嘘だろ…!?魔粒子の変換…!? つまり、コピーしたってことか…!?」 ローラはベッドの上に乗りそうな勢いでやってきてリウムに顔を近付けた。 「別の魔法の属性に変換させるなんて理論だけで未だ観測されていない、いわば机上の空論と言ってもいい魔法だぞ!?」 「だぁって出来ちゃったんだもーん…」 リウムはそう言いながらも水の猫に指先を向けて、まるで操り人形のようにベッドの上で踊らせ始める。 「変換って便利なんだよ一度やっちゃえば簡単に大量生産できちゃうの。もちろん劣化版にはなっちゃうけどね? で、面白くなって沢山変換して遊んでたら…、その、こんな数値は見たことないって騒ぎになっちゃって…」 「さ、騒ぎになっちゃってじゃあらへんで!?何をしたかわかっとるん!?」 「そうだぞ!!何で言わなかったんだ!?!」 「こんなことになるとは思わなかったんだもんー!」 お母さんのように怒り始めるイヴィトに、リウムは口を尖らせている。 「じゃあ、レンシアさんは、やっぱり…ホンモノ、ってこと?」 「さー…それは分かんないけど…今一番癒しの魔法を正規に持ってる人…って事になるかなぁ?」 「…そうと言っとるようなもんやん…」 その事実に気付くと、イオンの中にある方程式が浮かんでくる。 “大天使の生まれ変わり”=“皇帝の伴侶” レンシアさん=“大天使の生まれ変わり” レンシアさん=“皇帝の伴侶”……。

ともだちにシェアしよう!