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国家欺瞞の君 5
「大丈夫だよー。僕エルメーザの婚約者辞める気ないしー」
「ほ、ほんと!?」
「うん。割とエルメーザのこと気に入ってるしー」
重大な事実を隠していた割にケロッとしているリウムに、イヴィトとローラはため息をついている。
「そんな部活みたいなノリでいけるもんなのか?」
「国に関わることやろ…?めちゃくちゃ怒られるんじゃ…ていうかそれこそ国家転覆とか…」
「うーんそうだよねぇ…でも…怒られたら、謝るしかないかなー」
リウムはそう言ってにこにこと笑顔を浮かべ始める。
全然事の重大さが分かっていなさそうである。
「…ごめんね。そんなつもりはないんだけど、いつも変な事が起こるんだ…
多分…“誰でもよかった”事の役にいつも僕が当てはまってしまうんだと思う…」
彼はそう言いながらも、ベッドの上にあった大きなクッションを抱き締め始める。
「…まぁ僕には選択の権利は無いからさぁ…参っちゃうよね……」
「じゃあ…リウムが精霊を…?」
「どうも付き纏われてるんだよねー。
僕が呼ばなくたって勝手に話しかけてくるんだもん…」
「くるんだもんって…死んでたかもしれないんやで?」
「そんなこと言われたってさぁーしょうがないじゃーん
僕っていろんなものに好かれるんだからさ!」
クッションに頬を付けながら口を尖らせているリウムには、堂々とし過ぎていてなんだか怒る気も失せてしまう。
「り…リウムってさぁ……」
「…言うな、なにも。」
ローラは眉根を寄せながら腕を組み、何か考えるように空中に目を向けている。
「でもイオンくんまで巻き込まれるなんて思わなかったんだ…
ごめんね…」
「い…いやまぁ…精霊に関してはリウムが謝る事じゃないとは思うけど…」
「だよね!?僕悪くないよね!?」
「う、うーん……」
他人事のように言うリウムにイオンはため息を溢してしまう。
確かに結果的には全員無事でがあったし、イオンも反射的に動いてしまった上に
精霊の仕業だとすればリウムが制御できるものでもないのかもしれない。
だとしてももう少しそれ相応の態度がありそうだが。
「でもさ結果良かったでしょ?
僕は先輩に幸せになって欲しいし。がんばってねイオンくん」
「…一体どの口が言ってるんだ…」
ローラ達は呆れているようだったが、イオンはもう考えても無駄な気がしてとりあえずレンシアの事だけを考えることにした。
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