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夕暮れ時には 3
「もう、イタズラしてはいけませんよ?」
『ケケケッ』
オウムはレンシアに怒られたが全然反省の色もなく、近くの木の枝の上に移動すると笑い転げている。
非常に腹立たしい鳥だと思いながらも倒れたバケツを元に戻して、散らばった資材を拾い集めていると
レンシアも近くに来て手伝い始める。
「す、すみません…レンシアさん…」
「いえ、良いのですよ。事故でしょう?」
彼はそう言いながらくすくすと笑っている。
その美しい横顔には再びドキドキしてしまうのだ。
今まで好きになった人の中で、
間違いなく一番綺麗だし、一番優しくて、一番良い人だと思ってしまう。
頭が良くて、勇気があって、頑張り屋さんで、素敵な、人。
そりゃあ、こんな人誰だって好きになるに決まっている。
この世界に女子がいたら自分なんか到底声を掛けられるような存在では無かっただろう、と改めて思い知ってしまうのだ。
そうでなくてもそもそも、遠い人で。
たまたま奇跡的に今こうして近くに居られるだけで。
「なんだかここが落ち着くので…最近はずっとお手伝いしているのですよ
あまり人も来ないですし」
レンシアは床に散らばった土を掻き集めながら呟いた。
彼は平気そうにしているけど、やっぱり視線が集まってしまうし言われたくもない事を言われたりもしているのだろう。
死ぬくらいならと決心したつもりだったのに、そんな横顔を見ていると言っても良いのだろうかと思ってしまう。
一方的に気持ちを押し付けても良いのだろうかと。
自己満足でいいと思っているとはいえ、優しい彼が気に留めないはずもないから。
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