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夕暮れ時には 5

「ありがとう。そう言ってくれるだけですごく嬉しいですよ でも…責任取って生きてって、レンシアさんも言ってくれたでしょ? 俺もそう思ってる。レンシアさんには笑って生きていて欲しいからさ 俺の所為で、傷付けるとかは嫌だから…」 イオンが手を離すと、レンシアは再び俯いてしまった。 「……あなた、がいないのに……笑って生きてなんて…いけるわけない…でしょう……」 「レンシアさん…?」 「…っ、俺は、またああいう事になったら絶対にあなたを取り戻そうとするでしょう… 腕の一本や二本や、魔法だろうが魂だろうが全部くれてやる所存です…!」 「え゙……」 「だから、それが嫌なんだったら……っ 俺に傷付いて欲しくないと、そう思うんだったら…気を付けてください!」 レンシアは涙で濡れた目でこちらをキッと睨んだ。 「もう二度と変に死にかけるようなことしないでください!変に死んだように眠ったり!変に死なない!!いいですか!?」 「は、ハイ……」 逆に彼に怒られてしまい、イオンは若干しゅんとなりながらも頷いた。 理不尽な事を言われているような気もしたが、確かに俺が悪い…か?と納得しかけてしまい とりあえず、健康に気を付けようと心に誓うイオンだった。 レンシアは雑に涙を拭うと、掻き集めた資材を入れた箱を持って立ち上がる。 その背中はどこか少し怒っているようにも見えた。 どうしてそんなに必死なのだろう。 確かに目の前で誰かが死にかけたら恐ろしいし、不安でいっぱいにはなるだろうけれど。 「……レンシアさん……」 イオンは床に座り込んだまま彼の背中を見つめた。

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