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夕暮れ時には 6
あなたがいないのに。
あなたを救うためなら。
彼に言われた言葉がじわじわと頭の中で膨らんでいく。
………俺???
レンシアは箱を元の場所に置くと、袖で頬を拭っているようだった。
「なんで………俺……?」
まさか、と思うけど。言葉のアヤというか。聞き間違いというか。
と、思考を誤魔化そうとするけど。
そういえば、俺を置いていくなんて、みたいな事も言われた気がした事を思い出すと
イオンは勝手に顔が熱くなっていくのだった。
「なんでですって……?」
レンシアはこちらを振り返ると、再びイオンを睨んでくる。
「あなたを愛しているからに決まっているでしょう…っ」
そうやってまた泣き始めるレンシアに、イオンは呆然と彼を見つめたまま静止していた。
オレンジ色の中で、彼の金色の髪も涙もキラキラと光を含んで輝いていて
凄く綺麗で。
これは夢なのかと思えるくらい、
これ以上ないのではというくらい、
どうしようもないくらい、綺麗で。
「………け……結婚してください……」
世界の時が止まった中でイオンは呆然と呟いてしまった。
絶対に、この光景は走馬灯にラインナップされるに違いないのだ。
だから目に焼き付けておかなければと思考しなくても勝手に身体がそうしているみたいだった。
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