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夕暮れ時には 7

「は……はぁ……?」 レンシアは涙を拭いながらも眉根を寄せている。 その瞬間一気に時が動き出した。 ただ気持ちを伝えるだけのつもりが飛躍してしまった。 『イキナリカヨ!ドーテーコエーー!』 「あ……違……っ!今のは、その…ええっと…!いや違くないけど…!」 オウムが騒ぎ出し、イオンは絵に描いたようにおろおろしてしまう。 どうにか立ち上がって弁明しようと彼に近付くと、レンシアは怯えたように後退る。 「れ、レンシアさんあの…俺…」 「い…イヤ……」 「嫌??」 「……こ…来ないでください…っ」 「エ??」 レンシアは足を箱にぶつけながらバタバタと走り去っていってしまった。 一瞬の出来事で追いかけられず、イオンはそのまま膝から崩れ落ちた。 「ゑ………?嘘………?嫌われた…?今の一瞬で…?」 『イキナリガッツクカラダロ!バーカ!!!』 「だって愛してるって……え……?」 『カンチガイオツ!!!』 イオンが頭を抱えているとその頭にオウムが乗っかってきてゲラゲラ笑い始める。 「し………死にたい……」 オウムの重みにすら耐えられなくなって、イオンはそのまま地面にのめり込むように倒れていった。

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