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非難轟轟 2
「おお!いたいた!イオン殿!!探しましたぞ!」
「あ、ヴェネッタ先輩…」
「頼まれていた資料を作ってきたんですけ、ど…ど、どうされました…?」
イオンはテーブルの上に頬を付けたまま声のする方に顔を向ける。
フードを被っている眼鏡の生徒が苦笑している。
「あぁ……ありがとう…そこおいといて…」
「今イオンはご覧の通りダメになっとるから俺が預かっとくな」
「はぁ…」
何か会社の資料なのかもしれなかったがイオンはそれどころでは無かった。
ヴェネッタはイヴィトに資料を渡している。
「…って、げ…!あ、あなた様は…!偽天使の君…!?!」
「わぁーまた不名誉なあだ名がついてるー」
「お前のとこではこいつはどういう扱いなんだ?」
「どうもこうもないですよ!!
今“B.E.R”では大変な論争になっているんですから!!もちろんレンシア様派が圧倒的ですが一部熱烈なリウム様推しがいて今月号の“予言の光”なんてもう大変なことに!」
「びーいー?なにそれ…」
「ご存知ない!?“B.E.R“は“大天使の生まれ変わり”様を熱く信奉する者達が、遠くからじっとりねっとりニチャやかにお見守りする集いで…!」
ヴェネッタはイオンの隣に勝手に座るといつものような凄まじいテンションで喋り始める。
「ひひ。イオン、今のお前におすすめかもしれんぞぉ」
「はぁ…?何言ってんだよ…」
イオンはようやく机から顔を上げてローラの方を見ると、彼は何かの雑誌を広げている。
「ほれみろ、今月の特典ピンナップ。
お前に言わせれば“えちえち”だろ」
ローラは雑誌をこちらに向けてくれたが、ぺらりと雑誌から飛び出たポスターはレンシアの写真だった。
白シャツ腕まくりのレンシアが、犬のような生物をホースで洗っているらしい写真だ。
「ヒィィィナニコレッ!?す、スチル!?えっっっっ……」
イオンは秒で写真に飛びついた。
無駄に高画質だし、シャツが濡れててちょっと透けているし、生き物に向ける優しい笑顔には鼻血が出そうになる。
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