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一途でいなさい! 6

「はぁ…あのさぁ…そもそも好きな人じゃないとしたくならないと思うけど… エルメーザくんは俺とでもキスできるっていうの?」 「………」 エルメーザは顔を赤くしたまま固まっていて、二人はそのまま見つめあってしまった。 変な空気になってイオンは彼の肩から手を離す。 「冗談やめてよ!?」 「…き、君が言ったんだろうが……!」 「もう!!エルメーザくんってほんっとに最低なんだね!? そんな女の敵みたいな顔して本当に女の敵だとは思わなかったわ!!」 アップで見ても全然損なわれない顔面の強さとその謎の色気に身の危険を感じて、イオンは立ち上がった。 自分は60年に一度の奇跡をも拗らせ過ぎておじゃんにしたというのに、 持って生まれた立場と顔面で適当に食い散らかしていると考えるとどうしてここまで違うのかと虚しく思うし それなのにその顔で迫られたら絶対拒否出来ないと思ってしまうのもまたコンプレックスを加速させていってしまう。 「こ、これ以上浮気するんだったら俺友達やめるから!!」 「え゙…」 「エルメーザくんのバカー!!」 イオンは泣きながらその場から逃走した。 転生させてくれて少々感謝はしていたが、 やっぱり神様は依怙贔屓が酷いのではと思ってしまうイオンだった…。

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