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学べない分野 1
自分の状態がイマイチ自分でもよく分からなくて、1分置きくらいにため息が溢れてしまう。
レンシアは図書室の奥で、“恋愛”の本を読み耽っていた。
国に決められた結婚をする予定だったので、恋愛の事なんて全く分からないし学んで来なかったから
どうすればいいのか分からないのだ。
イオンの事は特別に想っている。
だけど彼といると、こんな感情を抱くのは初めてというくらい様々な気持ちが湧き起こってきてそれにひたすら翻弄されてしまって。
結局今も変な態度を取ってしまっているし、なんだかまともに顔も見れなくなってしまっていた。
ちゃんと仲直りしたいと思っているのに、
彼を前にすると変な事を口走ってしまいそうで。
「信頼関係…相手を慮る…素直に伝える…ちゃんと相手を褒める…家だからと気を抜かず身綺麗にしておく…記念日は忘れない…」
当たり前の事のような、細かすぎるような。
それも本によっても書いてある事が矛盾していたりして、読めば読むほど分からなくなってきてしまう。
「身綺麗…かぁ…」
レンシアは確かに最近めちゃくちゃ気を抜いている事を思い出した。
髪も伸ばしっぱなしで適当に引っ詰めているし、香水なんてどこにしまい込んだか分からない。
エルメーザとは違ってイオンはどんな状態でも怒らないから。
もしかすると、気にもされていないだけかもしれないけど。
自分がそんなに良い容姿だとも思っていないためレンシアは考えれば考えるほど憂鬱になってしまうのだ。
「……はぁ…」
やっぱりため息が溢れてしまって、レンシアは本を閉じて棚に戻しておいた。
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