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嘘つきへの断罪 1
シャワーを浴びながらも色々と考えてしまったけど、結局有効な答えは何も思い浮かばなかった。
でも、このまま逃げ続けるのはやっぱり良くない気がして
ちゃんと謝ろうという事だけは覚悟を決めておいた。
謝って、そして。
ただ憧れているだけで、何も要らないと伝えようと思った。
特別な関係になんてならなくたって、触って貰わなくたって良いのだと。
ただ、せめてこの学園にいる間だけは近くで見ていたいだけなのだと。
友達のままで、いいのだからと。
それだけで充分だからと。
レンシアはそれらをどう言葉で表現しようかと迷いながらもシャワー室から出た。
イオンはまだ帰っていなくて、一人きりの部屋は少し寂しく感じてしまう。
レンシアは自分のベッドに腰掛けて、向かいにある彼のベッドを見つめた。
この部屋に初めてきた時もこんな風にぼうっと部屋の中を見ていた。
あれからまだそんなに時間は経ってないはずなのに、なんだかずっとずっと前の事のようだ。
パーティで最悪な目に遭った次の日だった。
あの日は、今日で人生が終わったくらいに思っていた。
イオンは寝起きのパジャマのままで、それでも優しくしてくれて…。
「……ふふ…」
思い出すと胸の中が暖かくなって、じんわりと涙が滲んでくる。
あの時、彼が一緒に居てくれなかったら自分はどうなっていたのだろう。
凄く苦しくて辛くて消えたくてたまらなかった。
彼が手を差し伸べてくれなかったら、
心が折れて挫けて、自ら命を絶っていたかもしれない。
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