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嘘つきへの断罪 5
気付いたら唇が塞がれていた。
熱くて柔らかくて、彼の香りに包まれていて。
涙がどんどんと溢れ出していってしまう。
「っ…もう……もう……狡いってレンシアさん…!
俺だってずっと触りたかったよ……っ」
唇が離れると、強く抱き締められてしまう。
ぎゅう、と力を込められるとあり得ないくらい幸せに感じてしまって彼の背中に手を回す。
「す……好き……」
ぼたぼたと泣きながら、真っ白になった頭の中でそんな言葉が溢れてしまう。
なんでこんなに幸せなんだろう。
こんな自分が、こんな風に優しく強く抱き締めてもらっていいのだろうかと。
「好き……イオンさん…」
レンシアは呆然と呟いてしまっていた。
もうどうなっても良いとすら思えて仕方がなくて。
するとベッドに押し倒されてしまって、顔を真っ赤にしたイオンに上から睨み下される。
「俺の方が好きなんですけど!!??!!?!???」
半狂乱で叫ばれ、レンシアは泣きながらも微笑んだ。
彼に手を伸ばすと、イオンは眉根を寄せながら再び唇を塞いでくれて
彼の首の後ろに手を回してぎゅうっと抱き締めた。
キスなんて、初めてで。
ずっとそうしていたいくらい、幸せだった。
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