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二生目の正直 2
イオンは何をどうすればいいか分からなくなりかけながら
そろそろと彼の服を捲り上げていく。
レンシアは確かに華奢な方ではあるけど、紛う事なき男子の肉体で
お…男の人のからだ……、とイオンは鼻血を噴き散らかしそうになってしまう。
「な…生だ…妄想じゃない……」
「…あんまり……自信ないので見ないで…」
「いや…こればかりは目に焼き付けさせてください……」
「えぇ……?」
レンシアは戸惑っているようだったが、60年に一度の奇跡に目を皿のようにして観察してしまう。
白い肌は撫でるときめ細やかですべすべで、
彫刻みたいに美しくて、本当に素手でベタベタ触っていて良いのかと不安になってしまう。
シーツの上に広がっている金色の髪も、
赤くなった頬も、涙で透明度の増している瞳も、居た堪れ無さそうに寄せられている眉も。
あまりにも全てが艶っぽくて綺麗で、本当か?と疑ってしまいたくなる。
だけどなにか耐えるように彼は唇を噛み締めているので、
指先で彼の唇に触れて止めさせようとする。
「ぁ…」
噛んでいた所為かいつもよりも赤くなっている唇に、イオンは吸い込まれるように口付けていた。
キスをしたのだって今日が初めてくらいのもので、その感触を味わうのに必死になってしまって感想など考える暇もないくらい。
「…ん……、はぁ…」
その柔らかな唇を喰んで、怖々と舌を出して舐めてみたりする。
すると舌が唇の隙間から滑り降りていって、彼の口腔に侵入していってしまった。
びく、と彼の身体は震えたけどすぐに舌先を触れ合わせてくれて
知識でしか知らなかった舌を絡め合うという行為に夢中になってしまう。
柔らかくてぬるぬるしていて、頭がぼうっとなっていくように気持ちよくて無意識に彼の身体を抱き締めるようにして貪っていた。
「…は…ァ……っ」
唇の隙間から熱い吐息が漏れ出ていて、それを感じると脳が沸騰しそうになる。
ずっとそうしていたいのに、息苦しくて口を離してしまうと
レンシアの濡れた瞳と目が合ってしまった。
こんなに近くに、その紫色の瞳があってイオンは思わず彼の瞼に口付けた。
「レンシアさん……」
愛おしくて堪らなくて、触れる度にこんなに彼の事が好きだったのかと驚いてしまう。
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