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本領 3

例えゲームの世界であっても、そこには文明があって社会があって生き物が暮らしているのであれば 法律や生活システムが付随しなくてはいけなくて。 会社を立ち上げて以降、学園についてだけでなくこの世界の若干の不便さにやきもきしているイオンだった。 あんなに地獄だと思っていた現代日本が便利過ぎただけかもしれないけど。 そりゃ異世界転生で現代日本出身者が無双するはずだと思えて仕方がないイオンだった。 「励んどるかね!」 上司のような口調で現れたローラは、イオンの隣に勝手に座った。 「最近資料請求が殺到してるんや。すごいよなぁ」 イヴィトは資料をまとめて封筒に入れるという内職をしている。 ほーん、とローラは返事を溢しながらも気怠げに机に頬杖をついた。 「新聞にもインタビューが載っていたな。すっかり有名人様じゃないか」 「はぁ…悪口書かれるよりはいいけどぉ…」 イオンはため息を溢しながら、仕方なく資料に折り目を付けていく。 「で?お前は下々に内職させて何をやってるんだ?」 「また会社立ち上げるんやって」 「そんなに野心家だったのか…」 「違うよ…思いの外資金が集まっちゃったから還元する方法を考えてるの!」 「還元……?」 「イオンって変なことばっか言うんよね…ふせんがどうとか…」 「こいつが変なのは今に始まったことじゃないだろ」 「ちょっと…聞こえてるわよ…」 相変わらずイヴィトとローラは顔を合わせるとディスが始まるので、イオンは二人を睨んだ。

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