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爆誕!! 1
「えっと…あっ……、あの、ちょっと…お…話…、っ」
何故か色気のある吐息を溢しているレンシアに、イオンは一同に白い目で見られ始めてしまう。
「お前…やってるな?」
「な、何が?何を!?」
「さいてー…」
「ま、ま、まさかレンシア様に何か同人誌みたいなことを…!?!」
「違う違う!!」
変な誤解をされているイオンは慌てて立ち上がって弁明するが、レンシアはしゃがみ込んでしまった。
「もう…こら、だめだってば……っ」
艶かしい声を出し慌てている様子のレンシアにイオンは堪らず駆け寄ったが、彼のローブはなんだか不自然に蠢いている。
「レンシアさん?どうし…」
「うわ……!」
「キャ…」
彼に触れようとした瞬間、ローブの下から何かが飛び出してきてイオンの顔に張り付いてくる。
「キャァァァ!?!」
突然視界が閉ざされたイオンは叫びながら床に倒れ、顔に覆い被さる何かを剥がそうと藻搔いた。
床を転がり回りながらようやく視界が良好になると、両手が掴んでいるものを見下ろす。
ひんやりと冷たいのにぷにっとした爬虫類のような肉体の感触、
漆黒の中に黄色い目がギョロリと覗いていて思わず投げそうになる。
「ななななにこれ!?!トカゲ!?」
生き物だし雑には扱えないが、奇怪な生物にはどうしたらいいかわからなくなってしまって
イオンはとりあえず両手に掴んだまま腕を伸ばして遠ざけてしまう。
爬虫類は不機嫌そうに目を細めている。
「実は…産まれてしまいまして……」
「産まれた!?」
レンシアは苦笑しながらイオンの手から生き物を抱き上げる。
生き物は案外おとなしく彼の腕の中に収まった。
「ああ。あの石か」
「レンシーがドラゴンから貰ってたやつ?」
ローラとイヴィトは椅子に座ったまま平然と呟いており、ヴェネッタはイヴィトの背中に隠れたままちらちらと覗いている。
「ってことはドラゴンってこと?」
「か、かわいー……」
「可愛いかぁ?」
ヴェネッタの感想にローラは難色を示しているが、イオンはフラフラと立ち上がりながらもレンシアの腕の中にドラゴンを見下ろした。
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