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保護者 1
前回はイヴィトに連れて行ってもらったので若干道は曖昧だったが、記憶を頼りにどうにかドラゴン保存協会に辿り着く事が出来た。
前回の時とは違い、レンシアが抱えているドラゴンを見るや否や大騒ぎになってしまった。
この前はあんなに窓口をたらい回しにされて歩き回ったのに、
今回は自分達で移動しなくても座っているだけで次から次に大人がやってきた。
電車に乗っている時もドラゴンは大人しくレンシアに抱えられていたので、人懐っこくて可愛い生き物だと思っていたが
検査をすると職員に連れて行かれる事になった際は、レンシアの側を離れるのを嫌がって鋭い牙を剥き出しにして威嚇していたり
口から小さな炎を吐き出したりしていたので
やっぱりラスボスになる器はあるのだなとイオンは他人事のように観察してしまった。
結局検査にはレンシアも立ち会って、無事に終わって返されたドラゴンは
少し不機嫌そうにぶすくれてレンシアの膝の上から動こうとしなくなってしまうのだった。
「……えー、結論から申し上げますと…そちらのドラゴンは
ブラックダイアドラゴンといって、非常に珍しいドラゴンなのですね…
本来は人と交わらない領域に存在しているはずなのですが…」
ドラゴン保存協会の偉い人らしき男がやってきて、分厚い資料や検査結果らしきものを見ながら説明をしてくる。
「でも…前回お伝えしたように水族館にいた水棲ドラゴンから預けられたのですよ」
「ええ、ええ…前回の“石”の検査結果でわからなかったのは、その、飼育例はもちろん資料もあまりないような非常に珍しい事で…」
男は汗をかきながら資料を捲っていて、役所の人だから仕方がないかもしれないが周りくどい言い方にイオンは眉根を寄せてしまう。
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