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保護者 3

ぶすくれていたはずのドラゴンは、黄色い瞳をまん丸にしてレンシアを見上げている。 「…でもその子は、レンシアさんといたいように見えますよ? それにレンシアさんだってそう思っているのでは?」 イオンが指摘すると、レンシアはドラゴンを見つめたまま目を細めている。 「最初にこの子が飛び出してきた時…びっくりしたけど、少し嬉しかったのです。 水棲ドラゴンさんは…“この子の意思だ”って仰っていたから もしかすると…、俺に会いに、来てくれたのかなって…」 「レンシアさんがそう思うんだったら…きっとそうだよ」 「……でもそれも、本当は俺が都合よく解釈しているだけなのかもしれませんよね…」 「そんなわけ…!」 話をしている途中でドアがノックされ、協会員の男が慌ただしく戻ってきた。 男はまたもやたくさんの紙束を持ってきている。 「お待たせいたしました! ええっとですねえ…ドラゴンの飼育についての許可なんですが… 他にも色々と制約がありまして…」 「制約?」 「ええ、ええ…ドラゴンから卵を託されたという部分は確かに…そうですね…、証明ができない事なのでなんともいえませんが… 許可という法律のお話をいたしますと… 例えば社会的な信用度合いも必要となってくるんですね。 レンシアさんはまだ学生という事で保護者の同意が必要なんですよ」 「保護者の…」 レンシアは協会員の言葉を繰り返すと、再び俯いてしまった。 「何分貴重な生物ですし…上級疎通の魔法使いであっても全員が話せるわけではないため危険な部分もありますから… 身元が証明されるような人でないと許可を出すわけにはいかないのですよ。 学生の場合は、親御さんかもしくは信頼出来る大人の方の同意が必須となっておりまして…」 何故かにこにこしながら説明している協会員に、イオンは膝の上で両手を握り締めた。

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