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保護者 6

理事長は、はぁ、とため息をつきながらも空いている椅子へと腰を下ろした。 「全く。ハナから許可なんて下さないつもりだったみたいに見えるねぇ」 「理事長…どうして」 「どこかの小悪魔ちゃんに脅されたんだよ」 彼はそう言いながらも閉じられたドアを顎で指した。 多分ローラのことだろう。 「…ドラゴンは非常に魔力が高く、手名付ければ上級魔法なんか要らないくらいだと聞くよ。 もちろん賢くて下心のある人間には決して靡かない… だけど強大な力を手に入れる為なら“どんな事でもする”輩がいるからね」 理事長はそう言いながらもどこかホッとしたような顔でレンシアの胸に頬を擦り付けているドラゴンを眺めている。 「昔…ドラゴンは乱獲され調教され戦争に利用されていた歴史があって…、それで彼らは人と距離を置いたと… 儀式や法律は…またそうならないようにする為のもの、なのですよね…」 「そうだよ。でも…法律を駆使している人間が、同じ志とは限らない」 「…どういう事ですか?」 理事長は、爽やかな笑顔を浮かべたまま肩を竦めた。 「さぁね。魔法使いの考えることなんて僕にはさっぱりだな。 この胡散臭い協会の事もね」

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