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プレゼント 1
レンシアは、別に派手な生活だの身に余る名誉や肩書なんて本当は要らないし、目立ちたいわけでも無くて
ただ穏やかに静かに暮らせれば良いと思っている。
それなのに定期的に何かが無いといけないと言わんばかりに次から次に翻弄されるような出来事が起こってしまうのだ。
今日も、ただそうやって過ごしていただけだった。
ドラゴンから預かっていた石にヒビが入っているのを見つけてからというもの、あまり持ち歩くのは気が引けていたのだが
なんとなくいつも近くに置いておきたくて、慎重に持ち歩いてはいたのだ。
そしていつものように温室で手伝いをしていると、突然石が光出し、黒いドラゴンが飛び出して来て…。
本当に長い一日だった。
イオンとレンシアがようやく寮の部屋に戻って来た頃にはとっぷりと日が暮れてしまっていた。
ドラゴンは帰りつくまでにすやすやと眠ってしまい、とりあえずベッドに下ろして寝かせておいた。
「一応飼育の仕方の冊子はもらったけど…、
明日一応そのドラゴン使いの先輩に話を聞きに行きますかねぇ…」
イオンは眠たそうにあくびを溢しながら呟いている。
本来彼は関係のない事なのにも関わらず、
今日だって付き合ってくれたのに明日も付き合ってくれるのだろうか。
そもそもそんな風に当然のように振る舞っている彼が、嬉しいけど信じられないような気持ちになってしまって
レンシアはどこか戸惑いながら彼を見つめる。
「…イオンさん…どうして……そこまで…?」
「どうして…って、…嫌でしたか?」
「いえ、そういう事ではなくて……俺の問題、なのに…」
本当は自分でなんとかしなければならないのに。
ドラゴンが産まれてしまって、どうしたらいいかわからなくて
レンシアは真っ先にイオンを思い出してしまったのだ。
「……ごめんなさい…俺が、頼ってしまったから…」
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