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プレゼント 5
「レンシアさん…嫌だったら全然断ってください
俺の立場とか家とかほんとにどうでもよくて、レンシアさんがどうしたいかを教えて欲しいんです…」
「え…?」
「俺はレンシアさんと居たいです。“レンシアさん”の事が、好きだから」
心臓が煩い。
真っ直ぐな目に見つめられて逃げたくなるのに、そこに縛り付けられたみたいに身体が動かない。
レンシアさんはレンシアさんだよ、と彼はずっと言ってくれていたのに。
「レンシアさん…好きです…、俺の恋人になって欲しい……
ちゃんと…、ずっと…一緒にいたいから」
片手を取られて、手の甲に口付けられながらそんな風に言われると
涙がじわじわと滲み出て来てしまう。
これ以上、こんな幸せはないって思っていたのに。
「いい……の…?俺……で…」
「レンシアさんじゃないと考えられないよ」
イオンは手の甲に口付けたまま目を細めて呟いている。
涙がだらだらと溢れて来て、レンシアは思わず彼に抱き付いてしまった。
「…イオンさん…お、俺は、あなたの…こいびとになりたいです…っ」
「……うん」
彼の腕が背中に回ってぎゅうと強く抱きしめられると、ますます涙が溢れて来てしまう。
今まで散々我慢していたはずなのに、なんだか、彼といるとずっと泣いてしまって
おかしくなっているのかもしれないと思えるくらい。
だけど不思議とそれは嫌では無かった。
「レンシアさん、好きです…絶対…俺が幸せにしますので…な、何卒……」
「もう…充分すぎるくらいです…!」
これ以上幸せになってしまったら爆発して死んでしまうのではないだろうか。
それ思ってしまうくらい、あり得ないくらいで。
レンシアは必死に彼に抱き付きながら、ひたすら涙を溢し続けてしまうのだった。
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