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野暮用 4

「ローラも助けてくれるとは思うけど… なんか困ったらすぐ言いに来てくださいね、レンシアさん」 心配ではあるものの、イオンとレンシアは別のクラスなので授業中はあまりずっと一緒にはいられない。 「うん……」 窓とカーテンを閉めていると、レンシアはじっとこちらを見つめてくる。 まだ不安なのだろうかと彼を見つめ返しながら、何か上手く励ませないかと思考を巡らせる。 朝とはいえカーテンを引いた少し薄暗い部屋でも、彼の紫色の瞳は相変わらず光を取り込んでいて 物憂げな眼差しを向けられるとなんだか無駄にそわそわしてしまう。 レンシアはゆったりとした足取りでこちらへやってくると、ちょっとだけ背伸びをしてイオンに口付けてくれた。 「……ほえ?」 「ふふ。行きましょうか」 彼はそう言って微笑んで、ドラゴンを肩に乗せて歩き出す。 一瞬何が起こったか分からずイオンはぼけっと彼の背中を追ってしまう。 肩に乗ったドラゴンが振り返って来て、 アホ面…、といった具合に目を細めどこか哀れみの眼差しを向けている。 「行ってきますのきっす……????」 自分で言いながらも頭が爆発しそうになり、イオンは朝から尊死寸前になるのだった。

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