336 / 513

ドラゴン使いの先輩 3

「ところで、私に何か用事があったのでは?」 「あ、そうなのです…実はお聞きしたいことがありまして…」 レンシアが首の後ろ辺りに手をやると、彼のフードの中に入っていた黒いドラゴンが顔を出す。 それを見て、まあ!と青銀のドラゴンは目を見開く。 『なんて可愛らしい!まるで昨日産まれたばかりのような幼児ではございませんか!』 「昨日産まれたばかりの幼児です……」 「ブラックダイアドラゴンか…!本物を見るのは初めてだ」 サヴァトーラは興味深そうに腕を組んだ。 「何故君がドラゴンを?」 「それが…」 レンシアは事の経緯を簡単に説明した。 サヴァトーラは腕を組んだまま難しい顔をしていて、青銀の龍ネルシャの方が頷きながら話を聞いておりなんだか逆のようだった。 「……なるほど、それでドラゴンについて聞きたいと」 『何なりとお聞きくださいませ!わたくしなんでも教えて差し上げますわ!』 サービス精神旺盛らしいネルシャは目を輝かせながらレンシアに顔を近付けてくる。 「ドラゴンと盟約を交わしたのなら、特殊な守護の魔法がかかる。 故にあまり遠くに離れる事は出来ない。お互いの信頼関係にもよるが精々5キロ圏内といったところか…」 「そうなのですか?じゃあ迷子になることは無いのですね…よかった…」 レンシアはジンシーバを両腕に抱えながら、どこかホッとしたように呟いている。

ともだちにシェアしよう!