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ドラゴン使いの先輩 5
「ありがとうございます…、何故俺が選ばれたのかはわかりませんが…」
『人間と共に生きるドラゴンは使命を持ち産まれてくるのですわ。
選んだ人間と同じ日に産まれ、常に寄り添い、見送る運命にあるのです。
選び間違いはありませんわ』
ネルシャはそう言いながらも長い身体をくねらせてサヴァトーラの頭の上に顔を持ってくると、彼を撫でるように手足を動かしている。
しかし次の瞬間目をカッと開き、廊下の奥の方へと視線を向けている。
『むむ。また不穏な気配……!』
そう言うや否や、胴体と続きになっているような長い尾を動かしてスパンと何かを床に叩き落とした。
いつの間に飛んできたのか、封筒のようなものが床に落ちている。
封筒には血で書いたような歪な形のハートが浮かび上がっていて、見るだけでぞわりとするおどろおどろしさがあった。
「あれ、なんだろうかこれ…」
『触ってはいけませんわ!!また半黒魔術がかかっておりましてよ!』
拾おうとするサヴァトーラの頭をネルシャはペシペシと叩いている。
背中に銃口を突きつけられたようなじっとりとした邪悪な気配が漂って来て、イオンとレンシアは思わず振り返った。
廊下には他の生徒達もいたが、あの封筒から感じるような不穏な気配の主は誰だか分からない。
しかし確実に見られているような視線を感じてしまう。
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