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ドラゴン使いの先輩 6

「なんでしょうか……?この湿った悪意は…」 「なんか嫉妬みたいな……?」 『サヴァトーラのガチ恋勢でしてよ!』 「エ…?ガチ恋…??」 『全くこの子ったら常に誰かしらに付け狙われているのですわ。 それなのにこの無防備、無自覚、鈍感!対処するのに一苦労ですわ!』 ネルシャはサヴァトーラの頬を両手で捏ねくり回しながら愚痴をこぼしている。 確かにその顔面と人の良さはモテそうではあったが、床に落ちている封筒からは並々ならぬ熱意を感じてしまう。 「まあ…とりあえず後で部屋に取りに来てくれたまえ 別棟の3階の端が私の部屋だよ」 「別棟…なんですか?」 イオン達のいる寮の建物とは別の棟は教職員や宿泊、またエルメーザ達のような特殊な扱いの人間の使っている部屋が多いはずだった。 「ああ。何故かそこに押しやられていてね」 『サヴァトーラの無意識の魅力にやられたルームメイトが後をたたず、40回の引越しの末隔離処置されているんですの!』 「私が根を上げたのは作りの甘い媚薬を盛られて3日寝込んだ時くらいだけどなぁ… あの時は流石に死を覚悟したものだが……」 『もっとありましてよ!』 よく分からないが彼は彼で色々と苦労しているらしく、ネルシャがなんだかお母さんのようになっている。 ドラゴンとはそういう感じで面倒を見てくれるものなのだろうか、と結局いまいちイメージが掴めないイオンだった。

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