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18歳!初カレ! 2

「あ、ヴェネッタ先輩。ここ座りな?」 「ファッ!?!」 イヴィトはテーブルの横を通り過ぎようとした生徒を捕まえて服の裾を引っ張っている。 「おおお、お揃いで…皆さん……」 「わざと無視しようとしたん?」 「む、む、無視だなんてとんでもござらん! じ、自分のような陰の者が自らお声かけするなんて恐れ多くて!?」 「一応先輩やんか」 ヴェネッタは何故かいつも以上にビクビクしているが、結局テーブルの隅っこに腰を下ろしている。 彼は虐待されていた犬のような目付きで背中を丸めながら食事をしょもしょもととり始めていて、孤児院出身者のレンシアやリウムの方がまだ貴族っぽい気がしてしまうイオンだった。 「レンシーの誕生日会するから先輩もおいで」 「た、誕生日……?れ、レンシア様の……?」 「一昨日だったらしいぞ」 「え?え?本当に?」 ヴェネッタは目を丸くしている。 そしてイオンの首根を掴んで揺さぶってくる。 「ど、どこ情報すか!?!ソースは!?」 「い…いや正しいかどうかは分からないけど…… ネルシャさんが、ドラゴンは選んだ人間と同じ日に産まれるって言ってたから…」 「なんですと!?!」 ヴェネッタは目を見開くとわたわたと紙を取り出してメモし始めている。 「す、スクープ……!レンシア様のご生誕日判明か…!?」 「来月の“予言の光”の表紙が手に取るように見えるな」 「レンシーの事となると生き生きするやんなー。ヴェネッタ先輩」 二人は何故かニコニコして彼の推し活を見守っている。 「ネルシャさんっていうのは?」 「えっと…サヴァトーラ先輩と一緒にいるドラゴンだよ。 すごい気さくに話してくれてびっくりした」 「ドラゴンが言っていた事なら信憑性は高いかもしれんな」 この世界ではドラゴンの扱いは神のようになっているし、やはりネルシャの話していた情報は正しそうだ。

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